那智大社で神の実在を信じた!

那智大社で神の実在を信じた!

1,車は那智のお社の鳥居の前に着き、二人は冷房の車を下りて、面へいきなり吹きつける暑熱の気によろめきながら、杉木立の木漏れ日が熱い雪のように霏々と落ちている参道の石段を下りはじめた。 (三熊野詣より) 2.今や那智の滝は眼前にあった。岩に一本立てられた金の御幣が、遠い飛沫を浴びて燦爛とかがやき、凜々しく滝に立ち向っているようなその黄金の姿は、おびただしく焚いた薬仙香の煙に隠見している。 宮司がすぐ先生を見て寄って来て、恭しくご機嫌を伺い、一般の人には、落石の危険のために入ることを禁じられている滝壺間近へ、二人を案内した。朱塗りの門の、大きな錠は、錆びついていてなかなか開かなかったが、その門を入…